東京都23区内にも、わずかながら水田が残っています。 江戸時代初期、普請奉行を務めていた小泉次大夫は、徳川家康の命で多摩川の開発を任され、六郷領の灌漑のため農業用水を開削しました。 六郷領とは現在の世田谷区と大田区のあたり。 15年の歳月をかけて開発されたこの六郷用水を、土地の人は指揮官の名にちなみ、次大夫堀と呼び、300年以上にわたって周辺住民の農業・生活用水として欠かせない存在でした。 この一部が次大夫堀公園として今も残っていて、水田を潤しています。 ここに植わっている稲を、お散歩かたがた観察しています。

イネは分げつを終えると、出穂期(しゅっすいき)に入り、穂を出してもみの生産を開始します。 私はイネの穂先に花が咲いているのを確認しました!

8月4日 次大夫堀公園にて
今年は日照時間が少ないせいか、稲穂はまだ出始めで、わずかな株から申し訳なさそうに顔をのぞかせていましたが、じーっと目をこらして注意深くその穂を観察すると、確かに花を付けていました。 山下惣一著「農のモノサシ」によりますと、農業を営む人でもよほど念入りに見ていないと、稲の花に出会う機会は多くないそうです。 稲の花は独特の習性を持っていて、まず先に穂ができ、モミに花が咲いて受粉する、この順序は他の植物(花が咲いて実がなる)と逆ですね。 出穂期の稲はきわめてデリケートで、天候に影響をもろに受け、開花して交配がうまくいくかどうかの運命がかかっているのだそうです。 青い穂がのびのびと出て、花を開かせる良い条件とは、気温30度、湿度70〜80%、晴れということを読んでいたので、この日稲の観察に行って、とてもラッキーでした。

しかもこの水田には、トンボやバッタなどたくさんの生き物が生息していて嬉しいです。